「フリーランスだと保育園に入りにくい」という話を聞いて不安になっていませんか。たしかに、以前は会社員に比べて不利な面がありました。しかし、正しい準備と対策をすれば、フリーランスでも認可保育園に入ることは十分に可能です。
この記事では、フリーランスが保活で押さえるべきポイントを、利用調整指数の仕組みから必要書類、点数を上げるコツまで詳しく解説します。「知らなかった」で損をしないために、保活を始める前にぜひ一読してください。

フリーランスは本当に保活で不利なのか
結論から言うと、「制度上は不利ではないが、準備不足だと不利になる」というのが正確な答えです。
利用調整指数の仕組み
認可保育園の入園選考は「利用調整指数」と呼ばれるポイント制で行われます。この指数は「基準指数」と「調整指数」の2つで構成されています。
- 基準指数:保護者の就労状況(就労時間・日数)に基づいて算出される
- 調整指数:ひとり親家庭、兄弟姉妹の在園、認可外保育施設の利用などの個別事情で加点・減点される
基準指数は「雇用形態」ではなく「就労時間」で判定される自治体がほとんどです。つまり、フリーランスであっても月に一定時間以上働いていることを証明できれば、会社員と同じ点数が付きます。
なぜ「不利」と言われるのか
フリーランスが不利と言われてきた理由は主に以下の3つです。
- 就労の証明が難しい:会社員なら勤務先が就労証明書を発行してくれるが、フリーランスは自分で証明する必要がある
- 「在宅=保育の必要性が低い」と見なされがち:在宅勤務は子どもを見ながら働けると誤解されることがある
- 収入が不安定だと信頼性が低く見られる:開業して間もない場合、継続的な就労と認められにくい
しかし、これらはすべて「証明の仕方」で解決できる問題です。次の章で具体的な対策を見ていきましょう。
保活前に必ず準備すべきこと
1. 開業届を提出する
フリーランスの保活で最も重要な書類が「開業届」です。税務署に開業届を提出することで、「個人事業主として事業を営んでいる」ことの公的な証明になります。
開業届の提出は事業開始から1か月以内が原則ですが、遅れて提出しても罰則はありません。まだ出していない方は、保活を始める前に必ず提出しておきましょう。開業届の手続きの詳細は以下の記事をチェックしてみてください。

- 税務署への提出は無料、手続きは簡単
- e-Taxでオンライン提出も可能
- 控え(受領印つき)は保育園申請時に必要なのでしっかり保管
- 屋号を付けておくと「事業として行っている」印象が強まる
2. 就労実績を可視化する
フリーランスは「どのくらい働いているか」を客観的に証明する必要があります。以下の書類を日頃から整えておきましょう。
- 確定申告書の控え:収入があることの証明になる
- 業務委託契約書:継続的に仕事を受注していることの証明
- 請求書・納品書の控え:直近の取引実績の証明
- 成果物のポートフォリオ:どのような業務をしているかの説明資料
- 通帳のコピー:報酬の入金履歴
3. 就労状況申告書を丁寧に書く
自治体によっては「就労状況申告書」の提出が求められます。ここに1日のスケジュールを具体的に記載して、仕事と育児の両立が困難であることを示しましょう。
「9:00〜12:00 クライアントとのオンライン会議・資料作成」「13:00〜17:00 原稿執筆・納品作業」のように、時間帯ごとの業務内容を明記すると説得力が増します。


点数を上げるための具体的な対策
認可外保育施設やベビーシッターの利用
申請時点で認可外保育施設やベビーシッターを利用していると、多くの自治体で調整指数が加点されます。認可園の結果が出るまでの間、認可外を利用しておくことが点数上のアドバンテージになります。
ただし、自治体によって加点の条件や点数は異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
就労時間を基準に合わせる
多くの自治体では「月120時間以上」「月160時間以上」などの就労時間の区分で基準指数が決まります。フリーランスは自分で労働時間を管理できるため、申請時点の就労時間が最上位区分に入るよう調整することも検討しましょう。フリーランスの保険選びについては以下の記事をチェックしてみてください。



ただし、実態と異なる申告は絶対にやめてください。虚偽申告が発覚すると入園取り消しになるだけでなく、今後の申請にも影響する可能性があります。
居宅外就労の実績を作る
在宅勤務だけだと「自宅で子どもを見ながら働ける」と判断されるリスクがあります。コワーキングスペースの利用やクライアント先への訪問など、「在宅以外でも働いている」実績があると有利です。
希望園の選び方を工夫する
人気園だけを希望すると落選リスクが高まります。以下のポイントを押さえましょう。
- 希望園は上限いっぱいまで書く(空欄を残さない)
- 新設園は競争率が低いことが多い
- 小規模保育事業所も選択肢に入れる
- 自宅から少し離れたエリアも検討してみる
自治体の窓口を味方につける
保活の成否は「情報収集」にかかっています。自治体の窓口は積極的に活用しましょう。
窓口で確認すべきこと
- フリーランスの場合に必要な提出書類一覧
- 前年度の入園ボーダーライン(何点あれば入れたか)
- 自分のケースで何点になるかのシミュレーション
- 在宅勤務の場合の基準指数の扱い
- 加点項目の詳細(認可外利用、きょうだい在園など)
窓口の担当者は中立的な立場ですが、具体的に質問すれば有益な情報を教えてくれます。「フリーランスなんですが…」と漠然と聞くより、「開業届は出していて月の就労時間は○○時間ですが、基準指数は何点になりますか」と具体的に聞くほうが正確な回答が得られます。


保活のスケジュール
4月入園を目指す場合の一般的なスケジュールです。自治体によって異なるため、必ず居住地の情報を確認してください。
4月〜6月:情報収集
- 自治体の保育課に問い合わせ
- 利用案内(しおり)を入手
- 前年度のボーダーラインを確認
- 自分の指数をシミュレーション
7月〜9月:園の見学
- 気になる園の見学予約
- 見学時に在園児の様子や保育方針を確認
- 認可外保育施設も並行して見学
10月〜11月:申請書類の準備・提出
- 開業届の控え、確定申告書、契約書などを準備
- 就労状況申告書を作成
- 締め切りに余裕を持って提出
1月〜2月:結果通知
- 内定通知を確認
- 不承諾の場合は二次募集に備える
- 認可外保育施設への申し込みも並行して進める
- 申請締め切りは自治体によって異なります。必ず事前に確認してください
- 書類に不備があると受理されないことがあります。提出前にダブルチェックを
- 年度途中の入園は空きがあれば可能ですが、4月入園に比べて枠が少ないです
参考になる外部情報
よくある質問(Q&A)
Q. 開業届を出していないのですが、保育園に申し込めますか?
申し込み自体は可能ですが、フリーランスとしての就労を証明する書類が弱くなります。開業届の提出は無料で手続きも簡単なので、保活を始める前に提出しておくことを強くおすすめします。
Q. 売上がまだ少ないのですが、点数に影響しますか?
基準指数は「就労時間」で判定されるため、売上や収入の金額は直接的には影響しません。ただし、就労実績の信頼性を裏付ける材料として確定申告書の提出を求められることがあるので、少額でも確定申告はしておきましょう。確定申告の具体的な手順については以下の記事で詳しく解説しています。



Q. パートナーが会社員で、自分がフリーランスの場合はどうなりますか?
利用調整指数は「両親の点数の合算」で判定されます。パートナーが会社員であれば、その分の基準指数は安定して高い点数が見込めます。フリーランス側の就労時間をしっかり証明できれば、世帯としての点数は十分に確保できます。
Q. 在宅勤務だと減点されることはありますか?
自治体によっては「居宅内労働」と「居宅外労働」で基準指数に差を設けているケースがあります。事前に自治体に確認し、差がある場合は居宅外での就労実績を作っておくことが対策になります。
Q. 一度落ちたら翌年に再申請できますか?
再申請は問題なくできます。前回の不承諾通知を保管しておくと、翌年の申請時に加点される自治体もあります。また、二次募集や年度途中の入園も選択肢として検討してみてください。


まとめ
フリーランスの保活は、会社員に比べて「証明の手間」がかかるのは事実です。しかし、開業届の提出・就労実績の可視化・自治体窓口での情報収集をしっかり行えば、不利な状況を十分に覆せます。
保活のスケジュールは長期戦です。早めに動き始めて、書類の準備を着実に進めましょう。認可外保育施設の利用や希望園の選び方など、できる対策を一つひとつ積み重ねることが、内定への近道です。
「フリーランスだから無理」ではなく「フリーランスでもできる」。正しい知識と準備で、保活を乗り越えましょう。

